消防と建築の専門家が考察する|阪神・淡路大震災から30年 巨大地震から学ぶ教訓の継承と制度的備え|中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所|愛知県 岐阜県 三重県 静岡県|AICHI GIFU MIE SHIZUOKA JAPAN
淡路大震災から30年 巨大地震から学ぶ教訓の継承と制度的備え|中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所
消防と建築の専門家が考察する 阪神・淡路大震災から30年 巨大地震から学ぶ教訓の継承と制度的備え 中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所 消防法と建築基準法の専門家 愛知県 岐阜県 三重県 静岡県 AICHI GIFU MIE SHIZUOKA JAPAN
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年間点検・試験・調査・検査実績数 12,000物件以上 安心・安全と信頼の【業界No.1】 中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所
〇 目次
1. 震災から30年 消防設備士と建築士が直面する「記憶の風化」と「責任」
2. 阪神・淡路大震災が突き付けた「都市システム」の脆弱性
3. 建築基準法が担う「構造・耐火・避難」のハード対策
4. 消防法・消防法施行令が規定する「設備」の耐震と冗長性
5. 実務で使える!「防災管理」
6. 中部地方4県の地域特性と条例対応
7. 今後の消防設備士・建築士像 記録とエビデンスによる「信頼」の構築
8. 消防と建築の専門家としてのまとめ インフラ職の教訓を、建物の「血管」と「骨格」へ
9. 参考文献・出典元・引用元・参照先 一覧
特定建築物定期調査・建築設備定期検査・防火設備定期検査・外壁調査・防災管理定期点検・防火対象物定期点検・自家発電設備負荷試験・連結送水管耐圧試験・消防設備保守点検の中部建築設備二級建築士事務所 中部消防点検サービス株式会社 愛知県 愛知 岐阜県 岐阜 三重県 三重 静岡県 静岡 AICHI GIFU MIE SHIZUOKA JAPAN
1. 震災から30年 消防設備士と建築士が直面する「記憶の風化」と「責任」
1995年(平成7年)1月17日午前5時46分、兵庫県南部地震マグニチュード(M)7.3によって引き起こされた阪神・淡路大震災は、日本の都市防災(都市が被る自然災害『火災、震災、水災害、土砂災害など』を防止・軽減するための対応策)の脆弱性を白日の下に晒しました。
あれから30年が経過し、震災(地震によって人間や建築物等に被害が生じること)を実体験として知らない世代が、消防・建築業界の主力となりつつあります。
インフラ職(土木・ライフライン)の分野では、震災直後から「※1冗長性(リダンダンシー)」や「代替ルート」の確保が徹底されましたが、建築物・建築設備・防火設備・消防用設備の分野において、その教訓は十分に制度化・実務化されているでしょうか?
本コラムでは、中部地方4県(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)で活動する「消防と建築の専門家」の視点から、消防法・建築基準法・地方条例を紐解き、南海トラフ巨大地震等の巨大地震に備えるための具体的実務と技術継承について解説します。
注:※1 国土計画上では、自然災害等による障害発生時に、一部の区間の途絶や一部施設の破壊が全体の機能不全につながらないように、予め交通ネットワークやライフライン施設を多重化したり、予備の手段が用意されている様な性質を示す。 離島振興対策実施地域の振興を図るために国が定める基本方針。
2. 阪神・淡路大震災が突き付けた「都市システム」の脆弱性
阪神・淡路大震災では、6,434人の尊い命が失われました。その死因の多くは建物の倒壊による圧死(一定の重量を持つ物体と物体の間に挟まれた怪我、もしくは窒息等が原因で死に至ること)でしたが、当時は「同時多発火災」と「ライフラインの途絶」が、救助活動と復旧を著しく阻害しました。
〇 震災が変えた設計思想
震災後、都市インフラの設計思想は大きく転換しました。
◎構造物の粘り強さ: 脆性破壊(一気に壊れること)を防ぎ、変形しても倒壊しない設計へ。
◎バックアップ経路: 上下水道や送電網のループ化、緊急輸送道路の耐震化。
この「インフラ職の教訓」を、私たち建築士や消防設備士は、個別の建物防災へ「翻訳」して適用する必要があります。
◎阪神・淡路大震災の教訓と建築物・建築設備・消防用設備の対応対照表
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分 野 |
震災での被害と課題 |
インフラ分野での教訓と対応 |
建築・消防設備分野での適用 |
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構造・耐震 |
高速道路・ビルの倒壊 |
橋脚の補強、免震構造の採用 |
終局耐力設計、非構造部材(天井・配管)の耐震支持 |
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ネットワーク |
ライフラインの寸断 |
水道・送電網のループ化・ブロック化 |
消防用設備配線のループ化、予備電源の冗長化 |
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機能維持 |
救助活動の遅れ、情報遮断 |
緊急輸送道路の指定、防災拠点整備 |
代替避難経路の確保、非常用電源の長時間化(BCP対応) |
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維持管理 |
老朽化による被害拡大 |
インフラ長寿命化計画、定期点検 |
法令是正履歴の管理(トレーサビリティ)、既存不適格の改善 |
※図表は参考文献・参考資料・引用元・参照先よりオリジナルで作成しました。
〇 参考資料
◎内閣府 防災情報のページ(阪神・淡路大震災教訓情報資料集)
◎国土交通省:住宅・建築物の耐震化について
3. 建築基準法が担う「構造・耐火・避難」のハード対策
建築基準法第1条は「国民の生命・健康・財産の保護」を目的としています。震災の教訓は、以下の3点において現行基準に強く反映されています。
①構造耐震性(倒れないこと)
1981年6月1日からの新耐震基準に加え、2000年基準(木造)など、段階的に強化されて来ました。しかし、中部地方4県の都市部(名古屋市・岐阜市・四日市市・静岡市など)には、依然として「既存不適格(建築基準法などの改正などで、現行の法令に適合しなくなること)」の老朽建築物(旧耐震基準・1981年5月31日以前)が多数残存しています。
◎実務ポイント: 保有水平耐力計算や限界耐力計算を用い、巨大地震時の「終局状態」をシミュレーションする。
②耐火性能(燃え抜けないこと)
都市計画法上の「防火地域(市街地における火災の危険を防除するため定める地域)」、「準防火地域(建築基準法に基づき火災の延焼を防ぐために設定された地域)」における耐火建築物(建物の主要構造部『柱、梁、床、屋根、壁、階段など』に耐火性能のある材質などが使用されている建物)・※2準耐火建築物の要求に加え、延焼の恐れのある部分(隣地境界線から1階で3m、2階以上で5m以内の開口部)への防火設備設置(防火シャッター・防火戸等)が厳格化されています。
注:※2 建築基準法において、耐火建築物以外の建築物のうち、その主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が準耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など、火災を遮る設備を有する建築物をいう。
③避難安全性(逃げ切れること)
◎直通階段までの歩行距離
◎排煙設備の有効性
◎敷地内通路の幅員確保
これらは、地震で什器が転倒・散乱した状態でも機能しなければなりません。
4. 消防法・消防法施行令が規定する「設備」の耐震と冗長性
消防法は「火災の予防・警戒・鎮圧」を目的とし、建物の運用段階での安全を担保します。しかし、震災時には「消防用設備そのものが壊れる」、「水がない」、「電気がない」という事態が発生しました。
〇 都市直下型地震を見据えた設備要件
中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所として、特に重視しているのは以下の3点です。
①耐震措置の徹底(消防予第182号等)
スプリンクラー設備の配管の耐震支持、受水槽の足元固定、自家発電設備・蓄電池設備のアンカー強度は適正か。既存建物ではここが最大の弱点となります。
②※3フェイルセーフと冗長性
配線が断線しても機能するループ配線、予備電源の容量確保(消防法では多くの設備で60分等の容量を規定)。
③点検の実効性
形式的な点検・試験・調査・検査ではなく、「地震時に作動するか?」という視点での負荷試験や耐圧試験、外観点検。
注:※3 装置はいつか必ず壊れることを前提とし、故障時や異常発生時でも、安全側に動作させることで絶対に人命を危険に晒させないようにシステムを構築する設計手法です。 踏切遮断機が故障した場合 ⇒重力により自らしゃ断かんが降りてくる(自重降下)機構により踏切通行者の安全を確保します。
〇 参考資料
◎総務省消防庁:消防用設備等の点検報告制度
◎日本消防設備安全センター:消防用設備等の耐震措置について
5. 実務で使える!「防災管理」
消防と建築の専門家として信頼性(E-E-A-T)を高めるためには、法令適合状況を可視化し、説明責任(アカウンタビリティ)を果たすことが重要です。以下に、中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所が推奨する管理表を提示します。
◎建物総合防災チェックリスト(建築×消防連携版)
建築基準法と消防法の情報を一元管理し、整合性を保つためのシートです。
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管理項目 |
確認内容と入力データ |
根拠法令 |
判定・状態 |
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基本情報 |
〇〇ビル(名古屋市中区)・RC造・地上8階 |
- |
- |
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用途区分 |
複合用途(16項イ) 飲食店・テナントビル |
消防法施行令別表第1 |
要注意 |
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耐震性能 |
建築年:1978年 耐震診断:実施済(Is値0.5) |
建築基準法・耐震改修促進法 |
補強検討中 |
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防火区画 |
竪穴区画:形成済 スパンドレル:100cm確保 |
建基令第112条 |
適合 |
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消防用設備 |
自動火災報知設備:P型1級 点検実施:2025年11月 |
消防法第17条の3の3 |
良好 |
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非常電源 |
自家発電設備:屋上設置 燃料備蓄:4時間分 |
消防法施行規則第12条 |
適合 |
※図表は参考文献・参考資料・引用元・参照先よりオリジナルで作成しました。
◎密集市街地・地域リスク管理シート
愛知県や岐阜県の木造密集地域や、静岡県・三重県の津波想定区域で必須となる視点です。
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リスク要因 |
チェックポイント |
地域特性と条例対応 |
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延焼危険 |
隣棟間隔、外壁の防火構造、開口部制限 |
愛知県建築基準条例 |
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消防活動 |
接道幅員(4m未満か)、消防活動空地の有無 |
各市町村火災予防条例 |
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水利確保 |
防火水槽・消火栓までの距離(ホース到達可否) |
消防法第20条関連 |
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危険物 |
プロパンガスボンベの転倒防止、灯油タンク固定 |
液石法・消防法 |
※図表は参考文献・参考資料・引用元・参照先よりオリジナルで作成しました。
6. 中部地方4県の地域特性と条例対応
中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所の営業エリアにおける、特有のリスクと法的対応について解説します。
〇 南海トラフ巨大地震と津波・液状化(愛知県・三重県・静岡県)
◎リスク: 沿岸部(名古屋港周辺、四日市コンビナート、浜松市等)では、液状化(地震の揺れによって地盤が液体のようにドロドロになってしまう現象)による配管浮き上がりや、津波による電気室(地下・1階)の水没が懸念されます。
◎対策: 受変電設備の屋上化や嵩上げ、埋設配管の可とう継手(フレキシブルジョイント)の使用。静岡県や三重県では、津波避難ビル指定に関する独自の要綱が存在するため、設計時に確認が必須です。
〇 内陸活断層と直下型地震(岐阜県・愛知県内陸)
◎リスク: 濃尾地震(1891年)のような内陸直下型地震(陸地の地下で活断層がずれて起こる地震)による強烈な揺れ。
◎対策: 既存木造住宅の耐震化促進(各県の耐震診断・改修補助事業の活用)。岐阜県では山間部の土砂災害リスクも考慮した敷地選定が求められます。
◎中部地方4県のリスク別・重点点検・試験・調査・検査項目マトリクス
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対象エリア |
想定される災害リスク |
建築士の視点(構造・配置) |
消防設備士の視点(設備・運用) |
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愛知県・三重県(沿岸部) 名古屋市港区、四日市市等 |
南海トラフ津波・液状化 |
1階・地下への重要室配置回避 基礎の杭打ち強化・液状化対策 |
受変電設備・発電機の屋上設置(嵩上げ) 埋設配管のフレキシブル継手化 |
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静岡県(沿岸部) 浜松市、静岡市等 |
津波到達時間の短さ |
津波避難ビルとしての強度確保 屋上への垂直避難経路の拡充 |
避難器具の多重化・即時使用性 非常用放送設備の聞き取りやすさ強化 |
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岐阜県・愛知県(内陸部) 岐阜市、豊田市等 |
内陸直下型地震・土砂災害 |
旧耐震木造の倒壊防止(耐震補強) 急傾斜地崩壊危険区域の確認 |
感震ブレーカーの設置促進 プロパンガス等の転倒・ガス漏れ防止措置 |
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共通事項(都市部) 主要駅周辺・繁華街 |
大規模火災・延焼 |
隣棟間隔の確保、防火設備(扉・シャッター) 不燃材料の使用徹底 |
連結送水管・スプリンクラー設備の機能維持 消防隊進入路および活動空地の確保 |
※図表は参考文献・参考資料・引用元・参照先よりオリジナルで作成しました。
〇 参考資料(自治体)
◎愛知県:建築物地震対策のページ
◎静岡県:地震・津波対策
◎気象庁:南海トラフ地震について
7. 今後の消防設備士・建築士像 記録とエビデンスによる「信頼」の構築
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の観点から、これからの消防設備士・建築士に求められるのは、「法令適合・是正履歴管理」の徹底です。
◎法令適合と是正履歴管理表(トレーサビリティ)
「点検・試験・調査・検査して終わり」ではなく、不備をどう改修・工事したかの履歴こそが、万が一の際の法的防衛(善管注意義務の履行証明)となります。
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年月日 |
点検種別 |
指摘事項 |
関連条文 |
是正措置内容 |
完了日 |
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2025年4月1日 |
機器点検 |
誘導灯バッテリー切れ(3階) |
消防法施行規則第28条の3 |
バッテリー交換実施 |
2025年4月5日 |
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2025年10月1日 |
総合点検 |
防火戸閉鎖障害(1階ホール) |
建基令第112条・消防法第8条 |
ストッパー撤去・テナント指導 |
2025年10月2日 |
※図表は参考文献・参考資料・引用元・参照先よりオリジナルで作成しました。
このように、「いつ」、「誰が」、「何を根拠に」、「どう直したか」を記録し続けることが、企業様や建物オーナー様、管理組合様を守り、利用者の命を守る「見えない盾」となります。
■ 建築物の耐震構造・制震構造・免震構造について考える
耐震構造の特徴
〇 壁や柱を強化したり、補強材を入れたりする事で建物自体の堅さと強さで地震に抗を打ちます。
〇 コストに応じて耐震箇所を設定できるので予算を抑えることができる。
〇 建物の揺れは他の構造に比べて大きい。
〇 地震の規模が大きくなると、柱、梁、壁などが損傷する恐れもあります。
制震構造の特徴
〇 建物内に配置した制震部材(ダンパーなど、振動を軽減するもの)で地震のエネルギーを吸収します。
〇 耐震構造に比べて地震時の揺れを抑えられる。
〇 地震の規模が大きくなっても、柱、梁、壁の損傷を抑えられる。
免震構造の特徴
〇 建物と地面のあいだに免震部材(積層ゴムやダンパー)を設置する事で、建物が受ける地震のエネルギーを吸収し、地面から建物を絶縁します。
〇 耐震、制震と比べて、建物の揺れをもっとも抑えられるので、上層階の揺れが大きいビルやタワーマンションで採用されやすい。
〇 コストが比較的高いので、大規模な住宅で採用される傾向があります。
〇 建物内部の揺れが少ないので、落下物などによる二次災害が起こりにくいです。
〇 「免震構造」は、建物と基礎の間に、積層ゴムをはじめとする「絶縁」部材を入れた免震層を設け、地震による水平動が直接建物に伝わらないようにした構造を 言います。地震によって地盤が早く激しく揺れても、建物は地盤の揺れに追随せずゆっくり動くために地盤から地震力を受けず、建物はほとんど損傷を受けません。
〇 免震構造を採用することにより、非免震の場合に比べ地震時の揺れ、変形が大幅に低減しています。応答加速度は1/5程度となっており、十分な免震効果が確認できます。
耐震構造の揺れ
建物が丈夫でも、地震のエネルギーが建物内部に伝わり、2階、3階と階が上がるほど揺れの幅が大きくなります。低層住宅では揺れに対する影響は少ないですが、何十階建のタワーマンションでは大きく揺れてしまう可能性もあります。
制震構造の揺れ
耐震構造の揺れに対して、上の階に行くほど揺れが抑えられます。
免震構造の揺れ
地面の揺れが直接伝わらないため、建物の揺れは地面の揺れよりも小さくなります。建物内部の揺れも軽減されて、体感する揺れは実際の3分の1から5分の1程度に感じることもあるようです。
◎地震対策構造(耐震・制震・免震)の比較一覧表
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構造種別 |
特徴・仕組み |
揺れ方の特徴(居住性) |
建物へのダメージ・コスト |
適した建物用途 |
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耐震構造 |
・柱や壁を太く頑丈にし、補強材を入れて建物自体の「堅さ」で地震に耐える構造。 ・最も一般的で普及している工法。 |
・地震のエネルギーが直接伝わるため、上層階ほど揺れ幅が増幅する。 ・家具の転倒リスクが高い。 |
・大地震では柱・梁・壁にひび割れ等の損傷が生じる可能性がある。 ・コストは3つの中で最も安価。 |
・戸建て住宅
・低層~中層マンション ・学校、一般ビル |
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制震構造 |
・建物内に「ダンパー(振動吸収装置)」を設置し、地震エネルギーを吸収する。 ・耐震構造にプラスして採用されることが多い。 |
・耐震構造に比べ、揺れを20%~30%程度低減できるとされる。 ・特に上層階の揺れを抑える効果がある。 |
・柱や梁の損傷を軽減できる。 ・繰り返しの余震にも効果を発揮する。 ・コストは中程度。 |
・高層ビル ・タワーマンション ・リノベーション(改修) |
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免震構造 |
・建物と基礎の間に「積層ゴム」等の免震装置を入れ、地面と建物を「絶縁」する。 ・地面が揺れても建物はゆっくり動く。 |
・最も揺れを抑えられる(応答加速度は1/5程度)。 ・激しい揺れでも室内では「船に乗っているような」ゆっくりした揺れになる。 |
・建物本体への損傷はほとんどない。 ・室内での家具転倒や落下物による二次災害も防げる。 ・コストは最も高い。 |
・超高層マンション ・病院、防災拠点 ・精密機器工場 ・美術館 |
※図表は参考文献・参考資料・引用元・参照先よりオリジナルで作成しました。
8. 消防と建築の専門家としてのまとめ インフラ職の教訓を、建物の「血管」と「骨格」へ
インフラ職が道路や水道という都市の「大動脈」を守るなら、私たち消防設備士・建築士は、建物という「細胞」の中にある「血管(設備)」と「骨格(構造)」を守る役割です。
阪神・淡路大震災から30年。「教訓の継承」とは、単に当時の話を語り継ぐ事ではありません。
過去の失敗や被害を、現代の技術基準(法令)・管理手法・地域特性(ハザードマップ)に落とし込み、「今の備え」に書き換える事です。
中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所は、中部地方4県(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)の地域密着企業として、法令遵守と実務的知見に基づいた、権威性と信頼性の高いサービスを提供し続けます。
作成日:2025年12月2日 久野正則
9. 参考文献・出典元・引用元・参照先 一覧
◎内閣府 「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」震災後の主な動き年表 防災科学技術研究所
◎土木学会 「第27回橋梁等の耐震設計シンポジウム 特別講演『震災対応の記憶の伝承』」 土木学会
◎記事 「30年後の復興とインフラ再建 近代復興の到達点としてのまちづくり」 朝日新聞
◎記事 「巨大地震に備える 阪神・淡路大震災から30年」 Newton Consulting
◎記事 「インフラ防災リレー会議の開催について(兵庫県)」(令和7年11月) 兵庫県
◎総務省消防庁・消防法・消防法施行令・国土交通省・建築基準法・建築基準法施行令・内閣府防災担当・災害対策基本法・気象庁・総務省・厚生労働省等各省庁各種法令
◎愛知県防災局・三重県防災対策部・静岡県危機管理部・岐阜県防災課公表資料
◎愛知県・岐阜県・三重県・静岡県 各防災計画(令和5年度版)
◎愛知県・岐阜県・三重県・静岡県 各県建築部局公表資料(2024年度版)
◇ ライセンス・引用について : 「この記事は、消防・建築・防災に携わる技術者や専門家、研究、教育、報道目的の方々の参考資料として自由に引用・共有・サイテーションを頂けます(出典元をご明記の上ご活用下さい)」
※ 最近、日本全国で大小様々な地震が起こっています。万が一の巨大地震にしっかり備えておきましょう!
※ 防災袋・防災リュック・防災バックのローリングストック(期限の入れ替え)をしっかりしておきましょう!
※ 家具固定・感震ブレーカー・避難経路の確認も有効です。
※ 中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所の社会的使命は、起きてしまった火災や地震の被害を最小限(防災・減災)にくい止める為に存在しています。
中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所のホームページは、⇒ こちらからお進み下さい。
中部建築設備二級建築士事務所 中部消防点検サービス株式会社
中部建築設備二級建築士事務所 中部消防点検サービス株式会社は、特定建築物定期調査・建築設備定期検査・防火設備定期検査・外壁調査と防災管理点定期検・防火対象物定期点検・自家発電設備負荷試験・連結送水管耐圧試験・消防設備保守点検・消防設備改修工事をしている会社です。(建築物調査業界・建築設備検査業界・消防点検業界・消防業界の専門家)
日本は、4枚のプレート(北米プレート・ユーラシアプレート・太平洋プレート・フィリピン海プレート)が重なる特殊な国です。
世界の活火山の約7割が日本にあり、日本国内に111山の活火山があります。(日本一高い山の富士山も活火山です)
地震の主な原因は、プレートの歪み(沈み込み)によるものか、活火山の噴火(火山灰の中にはガラス繊維などが含まれています)によるものが地震の主な原因とされています。
地震の種類には、大きく分けて「内陸型(直下型)」と「海溝型(プレート境界型)」があります。
内陸型地震は、地下20キロくらいまでの比較的浅い震源で起こります。内陸部にある岩盤(プレート)に大きな力が加わると、ひずみが蓄積されたり断層(ずれ)や割れが生じたりします。そして、あるタイミングで地表面近くの岩盤が破壊されると、局地的に激しく揺れる原因となります。
一方、海溝型地震は、海のプレートが陸のプレートの先端を引き込みながら沈むときにひずみがたまり、それが限界に達すると陸のプレートが一気に跳ね上がることが原因です。接するプレート面が広ければ広いほど、ずれて動く距離が長ければ長いほど、地震の規模は大きくなります。
日本の面積は世界全体の0.25%程度と言われています。しかし、日本で起きた地震の回数を計測してみると、それは世界全体の18.5%に達するとも言われています。
日本は、世界でも稀にみる地震大国なのです。
最近では、阪神淡路大震災(1995年1月17日・M7.3)や新潟県中越地震(2004年10月23日・M6.8)、東日本大震災(2011年3月11日・M9.0)、熊本大地震(2016年4月16日・M7.3)、北海道胆振東部地震(2018年9月6日・M6.7)、能登半島地震(2024年1月1日・M7.6・震度7)が記憶に新しいです。
南海トラフ巨大地震は、今後30年以内に発生する可能性(マグニチュード(M)8~9クラス)について、以下の二つのモデルによる計算結果が提示されました。
①「すべり量依存BPTモデル(Slip-Size Dependent BPT model)」による評価:60~90%程度以上。 地震本部
②「BPTモデル(Brownian Passage Time model)」による評価:20~50%。 地震本部
いずれの数値も従来の「約80%程度」という評価を変更するものではなく、「高い」可能性を維持しています。 地震本部
50年以内に90%以上の確率で起きると言われています。
首都直下型地震(シン・関東大震災)は、30年以内に約70%以上の確率で起きると言われています。
30年以内、50年以内というのは、もしかしたら明日かも?明後日かも?(そうだったのか!!池上彰の学べるニュース・テレビ朝日で、池上 彰氏が言っていました)知れません!
※ 池上 彰氏のWikipedia(ウィキペディア)は、⇒こちらの外部リンクをご参照ください。
建築物に耐震構造・制震構造・免震構造を取り入れることで、震災を最小限に抑える可能性もあります。
巨大地震が発生した後には、建物の倒壊(建築・国土交通省)や土砂崩れ、インフラ設備の破損→津波→火災(消防・総務省消防庁)→液状化現象の順番で襲って来ます。
もしかしたら、南海トラフ巨大地震と首都直下型地震、富士山の噴火が同時(大連動)に起こるかも!?知れません。実際に320年前には、大連動が起きました。
地震後の津波の高さも、30メートルを超えて(規格外の高さ・大きさ)襲ってくるかも!?知れません。
日本では、まさか!に備えて準備をしておく必要があります。
遇者は経験から学び、賢者は歴史から学びます。
人間の脳は1日と3/4といわれる様に、寝てしまうと約75%を忘れてしまいます。よく人間は3日で忘れてしまう(風化してしまう)というのは、この考え方から来ていると思います。
人間の記憶力を少しでも伸ばす為には、インプットを3割 アウトプットを7割にすると脳内に記憶が定着すると言われています。
地震(災害)は予期せぬ時に起こり、人の命と財産を奪っていきます。人間が地震に対して抗うことが出来るとすると、定期的に建築基準法第12条第1項の特定建築物定期調査・外壁調査と建築基準法第12条第3の建築設備定期検査・防火設備定期検査と防災管理定期点検(消防法第36条)・防火対象物定期点検(消防法第8条の2の2)・自家発電設備負荷試験・連結送水管耐圧試験・消防設備保守点検(消防法第17条3の3)・消防設備改修工事(消防法第17条の4)を行って、建物のメンテナンスを怠らない事しか出来ません。
建築物調査業界・建築設備検査業界・消防点検業界の専門家として、ますます特定建築物定期調査・建築設備定期検査・防火設備定期検査・外壁調査・防災管理定期点検・防火対象物定期点検・自家発電設備負荷試験・連結送水管耐圧試験・消防設備保守点検・消防設備改修工事の防災活動の啓発をしていきます!
中部建築設備二級建築士事務所 中部消防点検サービス株式会社は業界のリーディングカンパニーとして、作業の効率化と安全性を重視して、最新式のデジタル機器導入や最新の設備投資を積極的に行って、消防法関連といえば中部消防点検サービス株式会社、建築基準法関連といえば中部建築設備二級建築士事務所とお客様から言ってもらえる様にE-E-A-T(「Experience(経験)」、「Expertise(専門性)」、「Authoritativeness(権威性)」、「Trustworthiness(信頼性)」の頭文字をとった、Googleのウェブサイト品質評価基準)を担保した専門家として会社のブランド化を図って行きます。
中部建築設備二級建築士事務所 中部消防点検サービス株式会社では、コンプライアンス(法令・法律遵守)を原則として、安心・安全に努めて参ります。
一人でも多く中部建築設備二級建築士事務所と中部消防点検サービス株式会社のファンが増える(エンゲージメントが高くなる)様に、特定建築物定期調査・建築設備定期調査・防火設備定期検査・外壁調査・防災管理定期点検・防火対象物定期点検・自家発電設備負荷試験・連結送水管耐圧試験・消防設備保守点検・消防設備改修工事のプロフェッショナルとして、業務に邁進して参ります。
中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所 代表取締役 久野 正則(消防と建築の専門家)
お客様の視点に立って、防災・火災・地震・地域情報などを中心に毎日有料級の有益な情報や最新のニュースを分かりやすく解説・発信していきます!
※ 代表取締役 久野 正則の経歴と生い立ちについては、こちらの内部リンクをご参照下さい。
※ 中部消防点検サービス株式会社の経営戦略については、こちらの内部リンクをご参照下さい。
【中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所の営業品目】
消防法関連 : 消防設備保守点検 防火対象物定期点検 防災管理定期点検 連結送水管耐圧試験 自家発電設備負荷試験 消防設備工事
建築基準法関連 : 特定建築物定期調査 外壁調査 建築設備定期検査 防火設備定期検査
【愛知県内の営業エリア】
愛知県 名古屋市(熱田区・千種区・昭和区・瑞穂区・南区・緑区・天白区・名東区・守山区・東区・中区・北区・西区・中村区・中川区・港区)を中心に、愛西市・阿久比町・あま市・安城市・一宮市・稲沢市・犬山市・岩倉市・大口町・大治町・大府市・岡崎市・尾張旭市・春日井市・蟹江町・蒲郡市・刈谷市・北名古屋市・清須市・幸田町・江南市・小牧市・設楽町・新城市・瀬戸市・高浜市・武豊町・田原市・知多市・知立市・津島市・東栄町・東海市・東郷町・常滑市・飛島村・豊明市・豊川市・豊田市・豊根村・豊橋市・豊山町・長久手市・西尾市・日進市・半田市・東浦町・扶桑町・碧南市・南知多町・美浜町・みよし市・弥富市 愛知 AICHI JAPAN
【名古屋市内の営業エリア】
愛知県 名古屋市(熱田区・千種区・昭和区・瑞穂区・南区・緑区・天白区・名東区・守山区・東区・中区・北区・西区・中村区・中川区・港区) 名古屋 NAGOYASHI AICHI 名古屋市内16区
【岐阜県・三重県・静岡県内の営業エリア】
岐阜県 (岐阜市・大垣市・各務原市・笠松町・可児市・岐南町・多治見市・土岐市・羽島市・瑞穂市) GIFU JAPAN・三重県(津市・四日市市・桑名市・鈴鹿市) MIE JAPAN・静岡県(浜松市・湖西市・磐田市・袋井市) SHIZUOKA JAPAN
〇 総務省消防庁 03-5253-5111
〇 国土交通省 03-5253-8111
〇 愛知県消防庁 052-961-2111
〇 岐阜県消防庁 058-272-1122
〇 三重県消防庁 059-224-2108
〇 静岡県消防庁 054-221-2073
〇 名古屋市消防局
予防部 予防課 予防係 052-972-3542
〇 名古屋市熱田消防署 052-671-0119
〇 名古屋市千種消防署 052-764-0119
〇 名古屋市昭和消防署 052-841-0119
〇 名古屋市瑞穂消防署 052-852-0119
〇 名古屋市南消防署 052-825-0119
〇 名古屋市緑消防署 052-896-0119
〇 名古屋市天白消防署 052-801-0119
〇 名古屋市名東消防署 052-703-0119
〇 名古屋市守山消防署 052-791-0119
〇 名古屋市東消防署 052-935-0119
〇 名古屋市中消防署 052-231-0119
〇 名古屋市北消防署 052-981-0119
〇 名古屋市西消防署 052-521-0119
〇 名古屋市中村消防署 052-481-0119
〇 名古屋市中川消防署 052-363-0119
〇 名古屋市港消防署 052-661-0119
〇 名古屋市役所 052-961-1111
〇 一宮市役所 0586-28-8100
〇 春日井市役所 0568-81-5111
〇 豊田市役所 0565-31-1212
〇 岡崎市役所 0564-23-6000
〇 豊橋市役所 0532-51-2111
〇 岐阜市消防本部 058-262-7161
〇 岐阜市消防本部 予防課 058-263-6065
〇 岐阜市内各消防署
〇 岐阜市中消防署 058-266-8152
◎ 東分署 058-241-3942
◎ 東南分署 058-247-3942
◎ 鵜沼分署 058-245-0911
◎ 精華分署 058-253-0119
〇 岐阜南消防署 058-272-2012
◎ 西分署 058-272-3942
◎ 柳津分署 058-388-9119
〇 岐阜北消防署 058-231-5308
◎ 黒野分署 058-239-3942
◎ 島分署 058-233-3942
◎ 岩野田分署 058-232-1942
◎ 三輪分署 058-229-3942
◎ 瑞穂分署 058-327-0119
◎ 巣南分署 058-328-0119
◎ 山県分署 0581-22-0119
◎ 美山分署 0581-55-2119
◎ 本巣分署 058-324-0119
◎ 根尾分署 0581-38-3113
◎ 本巣北分署 0581-34-2119
◎ 真正分署 058-322-0119
〇 岐阜市役所 058-265-4141
〇 大垣市役所 0584-81-4111
〇 津市役所 059-229-3104
〇 四日市市役所 059-354-8104
〇 桑名市役所 0594-24-2945
〇 鈴鹿市役所 059-382-1100
〇 浜松市役所 053-457-2111
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消防設備保守点検実施率・実施率推移表 全国 3月31日現在

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