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コラム

消防と建築の専門家が考察する|52年目の教訓 大洋デパート火災が問い直す、現代の「防火」と「既存建築物」の安全性|中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所|愛知県 岐阜県 三重県 静岡県|AICHI GIFU MIE SHIZUOKA JAPAN

52年目の教訓 大洋デパート火災が問い直す、現代の「防火」と「既存建築物」の安全性|中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所

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目次
1. なぜ今、半世紀前の火災を振り返るのか?
2. 大洋デパート火災とその背景 惨事はなぜ防げなかったのか?
3. 法制度の転換点 消防法と建築基準法の「ダブル改正」
4. 「遡及適用」と「既存不適格」のジレンマ 現代に残る課題
5. 中部地方4県(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)における地域的視点
6. 専門家への提言 設備と建築の融合を目指して
7. 消防と建築の専門家としてのまとめ
8. 出典元・参考文献・引用元・参照先 一覧



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1. なぜ今、半世紀前の火災を振り返るのか?

1973年(昭和48年)11月29日、熊本県熊本市で発生し、104名もの尊い命が失われた「大洋デパート火災」から52年が経過しました。この火災は、日本の消防行政及び建築行政において、「戦後最大の転換点」となった災害です。

部消防点検サービス株式会社 部建築設備二級建築士事務所は、愛知県・岐阜県・三重県・静岡県営業エリアとして、日々多くの建築物・防火対象物と向き合っています。その中で痛感するのは、「法改正前の建物(既存建築物)」に潜むリスクの深さです。

本コラムでは、消防設備士・建築士・防災関係者といった専門家の方々に向け、当時の火災を「過去の悲劇」として終わらせず、現代の「遡及適用」や「既存不適格建築当初は建築基準法などの法令に適合していたものの、その後の法改正や都市計画の変更により、現行の法規制に適合しなくなった建築物」といった実務的な課題にどう落とし込むべきか、消防と建築の専門的見地から解説します。


2. 大洋デパート火災とその背景 惨事はなぜ防げなかったのか?

大洋デパート火災が発生した1970年代前半は、高度経済成長期を経て建築ラッシュが続く一方、安全管理が後回しにされていた時代でした。この火災における「被害拡大の主因」は、現代の私たちにも通じる以下の3点に集約されます。

火災被害拡大の3大要因

工事中の防火管理の欠落:増築工事中であり、避難階段の一部が使用不能又は施錠されていた。
防火区画の不備:階段室への煙の流入を防ぐための竪穴区画が不完全で、煙が瞬く間に上階へ拡散した。
ハードとソフトの乖離:建築物・防火対象物(ハード)の改修に対し、避難誘導や通報体制(ソフト)が追いついていなかった。

当時、すでに一定の防火法令は存在していましたが、「既存の建築物・防火対象物に対して、どこまで新しい厳しい基準を適用させるか?」という法的強制力が弱かった点が、当時の制度的な限界でした。


3. 法制度の転換点 消防法と建築基準法の「ダブル改正」

この火災を決定的な契機として、国は消防法と建築基準法の抜本的な改正を行いました。これは単なる規制強化ではなく、「遡及(そきゅう・過去に遡って,効力を及ぼすこと)」という強力な概念を定着させた点で画期的でした。

以下に、実務者が押さえておくべき法改正の変遷を整理します。

大洋デパート火災を契機とした主な法改正の変遷

関連法規

改正・制度創設の内容

実務上のポイント

1974年

(昭和49年)

消防法

特定防火対象物への遡及適用

(現:法第17条の2の5)

デパート・ホテル・病院等に対し、スプリンクラー設備等の設置を既存建物にも強制。違反是正の命令権限を強化。

1974年

(昭和49年)

消防法

防火管理者制度の強化

消防用設備等の点検報告制度

消防機関へ定期的に点検結果を報告する義務(法第17条の3の3)が確立され、現在の消防設備保守点検業務の基礎となる。

1976年

(昭和51年)

建築基準法

仮使用承認制度の創設

(現:法第7条の6)

工事中であっても、避難・防火の安全性が確保されなければ使用を認めない制度。工事中の営業リスクを管理。

1976年

(昭和51年)

建築基準法

定期報告制度の強化

(法第12条)

特定建築物の調査・建築設備と防火設備の検査を資格者(建築士等)に行わせる規定を整備。

※図表は参考文献・参考資料・引用元・参照先よりオリジナルで作成しました。

〇 この改正により、「建てたもん勝ち」であった建築物・防火対象物の安全神話は崩れ、「維持管理し続けること」が法的な義務として定着しました。


4. 「遡及適用」と「既存不適格」のジレンマ 現代に残る課題

消防と建築の専門家が現場で最も頭を悩ませるのは、消防法と建築基準法のアプローチの違いです。

消防法のアプローチ:遡及適用(そきゅうてきよう)

消防法は、人命リスクが高い設備(消火器、自動火災報知設備、漏電火災警報器など)について、「既存物件であっても現行基準に合わせなさい」という遡及適用を原則としています(法第17条の2の5)。

これにより、古いビルでも消防用設備に関しては最新に近い安全性が求められます。

建築基準法のアプローチ:既存不適格(きぞんふてきかく)

一方、建築基準法(構造、防火区画、階段の幅など)は、「着工当時の法律に適合していれば、法改正があっても直さなくて良い(違法ではない)」という既存不適格の扱いが基本です。

ここに重大なリスクが潜んでいます。

◎消防用設備は新しくなっている(感知器や誘導灯は現行基準)。
◎しかし、建物構造(階段の数、排煙窓の位置、防火区画)は50年前のまま。

この「ねじれ」こそが、既存建築物の防火安全性を評価する際の落とし穴です。建築物と設備の点検・試験・調査・検査だけで安心せず、建築士と連携してハード面のリスクを洗い出す必要があります。

既存建築物が抱える「法適合のジレンマ」マトリクス

項 目

消防法(設備)

建築基準法(構造)

既存建築物(古いビル)のリスク

基本的な考え方

遡及適用(そきゅうてきよう)

命に関わる設備は、原則として現行基準に合わせる義務がある。

既存不適格(きぞんふてきかく)

建築当時の法律に合っていれば、法改正があってもそのままで良い(違法ではない)。

設備は新しいが、建物は古い」というチグハグな状態になりやすい。

主な対象

・消火器、自動火災報知設備

・誘導灯、漏電火災警報器

・スプリンクラー設備(一部)

・階段の寸法、数

・防火区画の仕様

・排煙窓の配置、廊下幅

火災時、設備(警報)は鳴るが、避難経路(階段)が狭くて逃げられない可能性がある。

専門家からの提言

法令点検(年に2回)機器点検・総合点検で機能を維持する。

定期調査(1年~3年毎)で劣化状況を確認する。

適法=安全」とは限らない。

オーナーの自主的な改修(避難路確保等)が必要。

※図表は参考文献・参考資料・引用元・参照先よりオリジナルで作成しました。


5. 中部地方4県(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)における地域的視点

部消防点検サービス株式会社 部建築設備二級建築士事務所営業エリアである中部地方4県においても、高度経済成長期(昭和40年代~50年代)に建設された雑居ビルや工場が数多く現存しています。

エリア特有のリスクと対策

南海トラフ巨大地震との複合災害リスク
静岡県や愛知県沿岸部、三重県では、地震発生時の火災リスクと避難困難性が懸念されます。古い建築物・防火対象物は耐震性能だけでなく、地震時の防火戸・防火シャッターの作動不良なども懸念されます。

名古屋市・岐阜市等の繁華街にある「ペンシルビル(狭い土地の上に建てられた中層建築物の通称)」
狭小地に建つ古いビルは、階段が1つしかない(1方向避難・特定1階段)ケースが多く、大洋デパート火災のような「階段が煙突化」するリスクを抱えています。

製造業(工場)の用途変更
岐阜県や愛知県、静岡県西部の工場地帯では、古い倉庫や工場を別の用途(カフェや店舗)にリノベーションする事例が増えています。ここで「用途変更」の手続きを適正に行わないと、重大な消防法・建築基準法違反となります。

部消防点検サービス株式会社 部建築設備二級建築士事務所では、単なる法令点検・試験・調査・検査に留まらず、こうした地域特性を加味した「実効性のある防火提案」を推奨しています。


6. 専門家への提言 設備と建築の融合を目指して

大洋デパート火災から52年。消防と建築の専門家が次に行うべきアクションは以下の通りです。

消防設備士の方へ
点検・試験時、設備の動作だけでなく「階段室に物品が置かれていないか?」、「防火戸・防火シャッターが閉鎖障害を起こしていないか?」など、建築的な不備も報告書に記載し、所有者に注意喚起を行って下さい。

建築士・ビルオーナーの方へ
既存不適格だから法的に問題ない!」で思考停止せず、自主的な改修(避難経路の二重化『2方向避難』、非常用照明のLED化など)を検討してください。特に特定建築物定期調査・建築設備定期検査・防火設備定期検査の報告は形骸化させないことが重要です。


7. 消防と建築の専門家としてのまとめ

1973年の教訓は、今も色あせていません。法令は犠牲の上に成り立っています。

その法令を現場で運用し、命を守る最後の砦となるのが、私たち消防と建築の専門家の使命です。

火災に遭ったときに何をすべきか?

この問いに対する答えを、設備(ハード)、構造(ストラクチャー)、意識(ソフト)の三位一体で準備し続けることこそが、最大の追悼となると確信しています。

作成日:2025年12月8日 久野 正則


8. 出典元・参考文献・引用元・参照先 一覧

※記事の信頼性を担保するため、以下の公的資料を参照・引用しています。

総務省消防庁:消防法の遡及適用及び消防用設備等の点検報告制度について
https://www.fdma.go.jp/
国土交通省:建築基準法における既存不適格建築物の扱いについて
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/index.html
東京理科大学 火災科学研究所:火災安全研究資料集(過去の大規模火災の分析)
https://www.rs.tus.ac.jp/fire/
愛知県防災安全局:県内の防災対策及び地震・火災対策
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/bosai/
総務省消防庁消防法消防法施行令国土交通省建築基準法建築基準法施行令内閣府防災担当災害対策基本法気象庁総務省厚生労働省等各省庁各種法令
愛知県防災局三重県防災対策部静岡県危機管理部岐阜県防災課公表資料
愛知県岐阜県三重県静岡県 各防災計画(令和5年度版)
愛知県岐阜県三重県静岡県 各県建築部局公表資料(2024年度版)


ライセンス・引用について「この記事は、消防建築防災に携わる技術者専門家、研究、教育、報道目的の方々の参考資料として自由に引用・共有・サイテーションを頂けます出典元をご明記の上ご活用下さい)」


最近日本全国で大小様々な地震が起こっています。万が一の巨大地震にしっかり備えておきましょう
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日本は、4枚のプレート北米プレートユーラシアプレート太平洋プレートフィリピン海プレート重なる特殊な国です。

世界の活火山の約7割日本にあり、日本国内111山の活火山があります。(日本一高い山富士山活火山です)

地震の主な原因は、プレートの歪み沈み込み)によるものか、活火山の噴火火山灰の中にはガラス繊維などが含まれています)によるものが地震の主な原因とされています。

地震の種類には、大きく分けて「内陸型(直下型)」と「海溝型(プレート境界型)」があります。
内陸型地震は、地下20キロくらいまでの比較的浅い震源で起こります。内陸部にある岩盤(プレート)に大きな力が加わると、ひずみが蓄積されたり断層(ずれ)や割れが生じたりします。そして、あるタイミングで地表面近くの岩盤が破壊されると、局地的に激しく揺れる原因となります。
一方、海溝型地震は、海のプレートが陸のプレートの先端を引き込みながら沈むときにひずみがたまり、それが限界に達すると陸のプレートが一気に跳ね上がることが原因です。接するプレート面が広ければ広いほど、ずれて動く距離が長ければ長いほど地震の規模は大きくなります。

日本の面積世界全体の0.25%程度と言われています。しかし、日本で起きた地震の回数を計測してみると、それは世界全体の18.5%達するとも言われています。


日本は、世界でも稀にみる地震大国なのです。

最近では、阪神淡路大震災1995年1月17日・M7.3)や新潟県中越地震2004年10月23日・M6.8)、東日本大震災2011年3月11日・M9.0)、熊本大地震2016年4月16日・M7.3)、北海道胆振東部地震2018年9月6日・M6.7)、能登半島地震2024年1月1日・M7.6・震度7)が記憶新しいです。

南海トラフ巨大地震は、今後
30年以内に発生する可能性(マグニチュード(M)8~9クラス)について、以下の二つのモデルによる計算結果提示されました。
①「すべり量依存BPTモデル(Slip-Size Dependent BPT model)」による評価:60~90%程度以上。 地震本部
②「BPTモデル(Brownian Passage Time model)」による評価:20~50%地震本部
いずれの数値も従来の「約80%程度」という評価を変更するものではなく、「高い」可能性を維持しています。 地震本部
50年以内90%以上の確率で起きると言われています。

首都直下型地震(シン・関東大震災)は、30年以内約70%以上の確率で起きると言われています。

30年以内、50年以内というのは、もしかしたら明日かも?明後日かも?(そうだったのか!!池上彰の学べるニュース・テレビ朝日で、池上 彰氏が言っていました)知れません!

池上 彰氏Wikipedia(ウィキペディア)は、⇒こちら外部リンクをご参照ください。


建築物耐震構造・制震構造・免震構造を取り入れることで、震災を最小限に抑える可能性もあります。

巨大地震が発生した後には、建物の倒壊(建築・国土交通省土砂崩れインフラ設備の破損津波火災(消防・総務省消防庁液状化現象順番で襲って来ます。

もしかしたら、南海トラフ巨大地震首都直下型地震富士山の噴火同時大連動)に起こるかも!?知れません。実際320年前には、大連動が起きました。

地震後の津波の高さも、30メートルを超えて規格外の高さ・大きさ襲ってくるかも!?知れません。

日本では、まさか!備えて準備をしておく必要があります。

遇者経験から学び賢者歴史から学びます。

人間の脳1日と3/4といわれる様に、寝てしまう約75%忘れてしまいます。よく人間3日忘れてしまう風化してしまう)というのは、この考え方から来ていると思います。

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部建築設備二級建築士事務所 部消防点検サービス株式会社は、コンプライアンス(法令・法律遵守)を原則として、安心・安全に努めて参ります。

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