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コラム

消防と建築の専門家が考察する|17時間の消火活動が突きつけた「建物間隔」の死角 函館火災に学ぶ防火規制と消防実務の乖離|中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所|愛知県 岐阜県 三重県 静岡県|AICHI GIFU MIE SHIZUOKA JAPAN

17時間の消火活動が突きつけた「建物間隔」の死角 函館火災に学ぶ防火規制と消防実務の乖離|中部消防点検サービス株式会社 中部建築設備二級建築士事務所

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目次
1. なぜ火は17時間も消えなかったのか?
2. 制度的背景 建築基準法における「境界」の限界
3. 消防活動の実態 水が届かない「空白地帯」
4. 図解分析 法的要件と消防活動のギャップ
5. 中部地方4県(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)におけるリスクと対策
6. 消防と建築の専門家としてのまとめ



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1. なぜ火は17時間も消えなかったのか?

2025年12月2日北海道函館市で発生した不動産事務所兼住宅の火災。報道によれば、鎮火までに約17時間を要し、隣接するビルへの延焼や周囲への多大な影響を及ぼしました。

元消防署長による「建物が密集し、建物と建物の間隔があいていない。前面道路と裏側からしか放水できず、間から放水するのは難しかったのでは?」という指摘は、消防設備士及び建築士の視点から見ても、現代の都市構造が抱える「制度と実務の盲点」を鋭く突いています。

本コラムでは、この事例を対岸の火事とせず、部消防点検サービス株式会社 部建築設備二級建築士事務所営業エリアである中部地方4県愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)の密集市街地老朽化した木造建築物が密集し、道路が狭く、公園などの公共施設が少ないために、地震や火災が発生した際に大規模な火災の延焼や避難が困難になる危険性が高い市街地)におけるリスクとして捉え直し、建築基準法と消防法の両面から、その構造的課題と対策を論じます。


2. 制度的背景 建築基準法における「境界」の限界

「延焼のおそれのある部分」の定義と誤解

建築基準法(以下、建基法)第2条第六号では、「延焼のおそれのある部分」が定義されています。

1階: 隣地境界線等から3メートル以下
2階以上: 隣地境界線等から5メートル以下

この範囲にある外壁や軒裏は、防火構造や準耐火構造などが求められます。しかし、これはあくまで「部材が燃えにくいこと(Passive Protection)」を定めているに過ぎず、「消防隊が進入して活動できる空間(Access Space)」を担保するものではありません。

民法と建築基準法の隙間

民法第234条では「建物を築造するには、境界線から50cm以上の距離を保たなければならない」とされています。しかし、50cmの隙間では、防火衣を着装し空気呼吸器を背負った消防隊員が有効な放水活動を行うことは物理的に不可能です。
法的に適法な建築物であっても、密集市街地においては「消火活動困難区域(消防自動車が通行できない、又は消防ホースが届かないため消火活動が困難になる可能性のある地域」が自動的に形成されてしまうのが現状です。

参考資料・出典元

e-Gov法令検索|建築基準法(第2条・用語の定義)
国土交通省|建築基準法制度概要集(防火・準防火地域)


3. 消防活動の実態 水が届かない「空白地帯」

燃焼のメカニズムと放水の限界

今回の北海道函館市の事例のように、建物間隔が狭い場合、火災現場では以下の「負の連鎖」が発生します。

側面進入不能: 建物側面(隣棟間)へ隊員が進入できない。
開口部放水不能: 側面の窓等の開口部へ直射注水ができない。
輻射熱の蓄積: 狭い空間で熱気が滞留し、隣接建物への輻射熱が急激に高まる(フラッシュオーバーの誘発)。
防御的活動への移行: 内部進入ができず、前面道路や裏側からの「延焼阻止(サラウンディング)」に徹せざるを得ないため、鎮火に長時間を要する。

消防法上の限界

消防法第7章「火災の警戒」や消防活動の原則において、消防隊の公道からの活動は保証されていますが、私有地内の狭隘な通路確保までは、既存不適格建築物や古い密集地において強制力を持たせるのが困難です。

参考資料・出典元

総務省消防庁|消防法(第7章・火災の警戒)
総務省消防庁|消防統計(火災の状況)


4. 図解分析 法的要件と消防活動のギャップ

適法なら安全」とは限らない現実を、消防と建築の専門家の視点で整理しました。

建築・消防規制と実際の消火活動の相関

項 目

建築基準法(ハード面)

消防法・消防戦術(ソフト面)

現場の課題(リスク)

隣棟間隔

民法上50cmあれば適法

(防火地域等は外壁接面可)

有効活動幅員1m以上推奨

(装備含む隊員通過のため)

50cmでは隊員進入不可。

側面からの注水が物理的に不能。

外壁性能

防火構造・準耐火構造等

(燃え抜けない時間の確保)

注水による冷却効果を期待

開口部(窓)や換気口からの

噴出火炎・吸気は防げない。

開口部

防火設備(網入りガラス等)

(延焼のおそれのある部分)

破壊・注水活動の起点

建物間が狭すぎると梯子が架けられず

破壊も注水もできない「死角」化。

活動拠点

道路幅員(4m以上など)

水利(消火栓)部署位置

道路はあっても、建物裏手や

奥まった敷地への到達が困難。

※図表は参考文献・参考資料・引用元・参照先よりオリジナルで作成しました。

解説

上表の通り、建築基準法は「延焼遅延」を目的としていますが、消防活動に必要な「空間」までは完全に担保していません。このギャップが「17時間の消火活動」を生む主因となります。


5. 中部地方4県(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)におけるリスクと対策

中部地方4県においても、この問題は他人事ではありません。

重点警戒エリアの特性

愛知県(名古屋市周辺)
木造住宅密集地域(木密地域)が広範囲に残存しており、狭隘道路も多いため、今回のような「側面アプローチ不可」のリスクが極めて高いエリアです。
岐阜県・三重県・静岡県
古い宿場町や観光地では、歴史的な景観保持と引き換えに、現行法基準を満たさない建物間隔のまま維持されているケースが散見されます。
また、南海トラフ巨大地震発生時には、同時多発火災による消防力分散が予想され、1件あたりの消火に時間を要する構造は致命的です。

中部地方4県・密集市街地リスク自己診断シート

診断項目(チェック内容)

リスク解説(消防と建築の専門家視点)

危険度判定

隣の建物との隙間が1m未満だ

消防隊が隙間に入れず、側面からの延焼防止放水ができません。

函館火災と同様の長期化リスクがあります。

高 (危険)

建物の裏側へ行く通路がない

袋小路」状態です。裏手で出火した場合、発見が遅れ、

且つ消火活動も届かない「空白地帯」になります。

高 (危険)

隣の窓と自分の窓が向かい合っている

輻射熱(放射熱)が直撃します。

一方が燃えれば、数分でガラスが割れ、室内に延焼します。

中 (警戒)

築30年以上の木造建物が周囲に多い

特に愛知県の木密地域や古い宿場町(岐阜県・三重県・静岡県)では、

一度火がつくと連鎖的に燃え広がる可能性が高いです。

中 (警戒)

消防隊用の進入口(赤色マーク)がない

2階・3階への進入経路が確保されておらず、

はしご車も使えない場合、逃げ遅れのリスクが増大します。

高 (危険)

※図表は参考文献・参考資料・引用元・参照先よりオリジナルで作成しました。

参考資料・出典元

愛知県|地震対策・木造住宅密集地域の整備
気象庁|南海トラフ地震に関連する情報

消防と建築の専門家にできること 提言

「消防設備士」及び「建築士」として、以下の対策を推奨します。

連結送水管・ドレンチャー設備の活用
消防隊が進入できない狭隘地を持つ建物には、外部から接続して放水できる連結送水管や、外壁を水膜で守るドレンチャー設備の設置(自主設置含む)を検討すべきです。
開口部制限の強化
隣地境界線に近い窓は、単なる網入りガラスではなく、遮熱性能の高い防火設備とするか、極力設けない設計が望まれます。
点検時の「消防活動空地」確認
消防設備保守点検において、単に設備が動くかだけでなく、「ここに消防隊が入れるか?」、「室外機や物置で閉塞されていないか?」という視点でのアドバイスが重要です。


6. 消防と建築の専門家としてのまとめ

北海道函館市の火災事例は、「建物間隔の狭さ」が「消火活動の長期化」に直結するという物理的現実を改めて浮き彫りにしました。

E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の観点からも、単に法令をクリアしているから安心するのではなく、「実際に火が出た時、消防隊がどう動けるか?」をシミュレーションした建築計画と維持管理が不可欠です。

部消防点検サービス株式会社 部建築設備二級建築士事務所では、消防法と建築基準法のクロスオーバー領域における消防と建築の専門的な知見を活かし、愛知県・岐阜県・三重県・静岡県の皆様の資産と安全を守るための具体的なソリューションを提供し続けます。

作成日:2025年12月4日 久野 正則


参考文献・出典元・引用元・参照先 一覧

総務省消防庁消防法消防法施行令国土交通省建築基準法建築基準法施行令内閣府防災担当災害対策基本法気象庁総務省厚生労働省等各省庁各種法令
愛知県防災局三重県防災対策部静岡県危機管理部岐阜県防災課公表資料
愛知県岐阜県三重県静岡県 各防災計画(令和5年度版)
愛知県岐阜県三重県静岡県 各県建築部局公表資料(2024年度版)


ライセンス・引用について「この記事は、消防建築防災に携わる技術者専門家、研究、教育、報道目的の方々の参考資料として自由に引用・共有・サイテーションを頂けます出典元をご明記の上ご活用下さい)」


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日本は、4枚のプレート北米プレートユーラシアプレート太平洋プレートフィリピン海プレート重なる特殊な国です。

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地震の主な原因は、プレートの歪み沈み込み)によるものか、活火山の噴火火山灰の中にはガラス繊維などが含まれています)によるものが地震の主な原因とされています。

地震の種類には、大きく分けて「内陸型(直下型)」と「海溝型(プレート境界型)」があります。
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南海トラフ巨大地震は、今後
30年以内に発生する可能性(マグニチュード(M)8~9クラス)について、以下の二つのモデルによる計算結果提示されました。
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いずれの数値も従来の「約80%程度」という評価を変更するものではなく、「高い」可能性を維持しています。 地震本部
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首都直下型地震(シン・関東大震災)は、30年以内約70%以上の確率で起きると言われています。

30年以内、50年以内というのは、もしかしたら明日かも?明後日かも?(そうだったのか!!池上彰の学べるニュース・テレビ朝日で、池上 彰氏が言っていました)知れません!

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地震後の津波の高さも、30メートルを超えて規格外の高さ・大きさ襲ってくるかも!?知れません。

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